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迷路のような水の都、ベネチアの魅力【イタリア旅行記】

      2020/10/13

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ベネチアって本当に迷路みたいな街なの?ベネチアの魅力は?実際に訪れた旅行記を知りたい!

という方へ、私のイタリア旅行記として、迷路のような美しい街、ベネチアの魅力をまとめました。
いつかベネチアに行きたいと思われている方の参考になれば幸いです。

本記事の内容

  • ざっくりベネチア基本情報
  • 魅力1. 観光客の多さが語る「美しさ」
  • 魅力2. 迷路のような街
  • 魅力3. 沈みゆく都市
  • 魅力4. アートの本場
  • 番外編 おじさんがダンディ
  • いつ訪れると観光客が少ないのか?

この記事を書いているのは、一人旅大好き、英語翻訳者です。
ヨーロッパの素晴らしさにはまり、再びヨーロッパの国々を訪問したいという思いを日々募らせています。

迷路のような水の都、ベネチアの魅力【イタリア旅行記】

水の都、ベネチア(英語名から、ベニスと呼ばれることもあります)。
イタリアでも有数の観光都市ですが、訪れてびっくり、ベネチアはまるで迷路のような、想像以上に美しい都市でした。
迷路のような美しい都市、ベネチアの魅力について、個人的に感じたことと事実を交えて記して行きます。

魅力1.観光客の多さが語る「美しさ」

ベネチアは、イタリアの北部に位置し、アドリア海の女王、アドリア海の真珠なんて異名を持つほど、美しい都市。
118もの島々から成り立ち、それぞれの島は水路や橋で結ばれています。

ベネチアの魅力の一つは、なんといってもその美しさ。
想像をはるかに超える美しさです。
都市全体や、建物も全てに雰囲気があって、歴史の中に迷い込んでしまったような気分にさせてくれます。

そして、ベネチアに関してこう感じているのは、私だけではありません。
ベネチアが一体どれくらい美しい都市か、その魅力のほどは、事実が語ってくれています。

ベネチアには、毎年多くの観光客が訪れていますが、驚具体的にはどれくらいの数か、ご存知でしょうか。

宿泊する観光客と、日帰りの観光客をあわせると、なんと!
1年に20 millionから30 million=2000万人から3000万人が訪れており、その数は増える一方だとか。
2018年の5月、観光客対策として、通行規制のゲートが設置されて話題になりましたが、そんなゲートを設置しないといけないくらい、観光客が多かったということです。

これ、東京と比べてみるとその観光客の多さがわかります。
2017年に東京都を訪れた外国人旅行者は、1377万人と発表されています。

そして、東京都面積2188平方キロメートルベネチアの面積は大体414平方キロメートルほど。

東京よりもずっと狭いところに、東京全体に訪れている以上の数の観光客が訪れる
いかに観光客の数が驚異的か、おわかりいただけますでしょうか。

それもこれも、ベネチアの美しさに魅了される人々が、これだけ多いということ。
おそるべし、ベネチアの美しさ。ベネチアの吸引力。

魅力2. 迷路のような街

ベネチアの魅力の二つ目。
ベネチアは「迷路」であるということが挙げられます。

街の中を、あてもなく、ふらふらと歩いてみます。
地図を見ながら、歩いてみます。

細い道がたくさんあって、ベネチアは、まるで迷路です。

写真: こんな感じで、急に行き止まりの道もあり、何度もすごすごと引き返しました。笑

まさにリアル迷路。
しかし、なんて雰囲気のある美しい迷路でしょうか!

私の場合は、そんな風に感動しながら、お昼の街を歩いていると…

レストランの前で呼び込みをしているおじさんが、「オイシイ!オイシイ!」と、カタコトの日本語で話しかけてきました。

「オイシイお店だから、中に入って食べてってよ!」ってことですね。

観光都市あるあるです。
呼び込みの方がたくさんいて、アジア人を見るとその国の言語で話しかけてくるんですね。

最初はそのイタリア人おじさんの、かわいらしいカタコトの「オイシイ」を聞いて、「え~!おじさん日本語上手じゃん」と笑顔で、ノリノリで返しつつ、お腹は空いていなかったので、「thank you」「Grazie(※イタリア語で、「ありがとう」です)と言いながらおじさんの前を通り過ぎたのですが。

その後、道に再びがっつり迷ってしまい、それから何度も何度も、なぜだか、その「オイシイおじさんの店」に戻ってしまいました。

どうがんばっても、最終的に開始地点(オイシイおじさんの店)に戻ってきてしまって、そこから先に進むことができなかったのです。笑

違う道を選んで、進んでいたはずなのに、なぜだか最終的に、オイシイおじさんの店に戻ってきてしまう。

…ということで、そのオイシイおじさんも、最初のうちは「オイシイ、オイシイ!」と日本人観光客(私)の呼び込みに必死だったのですが、三度目位からは私を見て「またお前か」的な顔になり、その後また数回、私が違う道から短い時間のスパンで店の前に現れるのを見て、「お前、何してんだ」的な顔になっていきました。(「オイシイ」も言ってくれなくなりました)

私も、最初は笑う余裕があったのが、三度目は「…またオイシイおじさんの店に戻ってきちゃった…おかしいな。こんにちは~」(若干気まずい)という感じになり、その後数回は「げっ、またオイシイおじさんの店の所に出ちゃった」となり、最終的には気まずすぎて、オイシイおじさんと目を合わせず、うつむいて黙って通り過ぎました。

オイシイおじさんを最後にちらっと横目で見た時、おじさんの顔が明らかに「お前、何周してんだよ」と言っていました。

…それくらい道に迷いやすいというか、道が細くて入り組んでいて、道が全く覚えられませんでした…苦笑

ただ、本当に雰囲気のある街並みなので、道に迷うこと自体を楽しんでしまえる街です。
そしてこれが、ベネチアならではの魅力の一つと言えると思います。

異国の地で、迷う。
まるで別の時代に迷いこんでしまったかのように感じさせてくれます…。
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魅力3. 沈みゆく都市

そんな美しい、迷路のような都市ベネチアは「沈みゆく都市」でもあります。
そしてそれが、ベネチアのもう一つの魅力。

というのも、ベネチアでは、高潮(地盤沈下)が深刻です。

『ナショナルジオグラフィック』から引用させていただきます。

1950~70年にかけて産業用に大量の地下水を汲み上げ、20年で約12センチも地盤が下がった

また、こちらは朝日新聞2020/10/4付より。

ベネチアでは毎年秋から冬にかけ、強い南風を受けた海水が押し寄せて水面が上昇し、高潮による浸水被害が起きてきた。昨年11月には観測史上2位となる187センチを記録し、歴史地区の大半が被害を受けた。

浸水被害、187センチ!!!!
ほとんどの人が沈んでしまいます。凄まじいですね。
(この街が水浸しになってしまう現象は、「acqua alta」=「アクア アルタ」と呼ばれています。ベネチアの有名な「サン・マルコ広場」が水浸しになっている写真を見たことがある人も多いはずです。)

ただ、イタリア政府も、もちろん黙っていません。
大事な文化財や世界遺産に溢れるベネチアが沈むのを防ごうと、策を講じています。

それが、「モーゼ計画」。
(モーゼは、旧約聖書に出てくる、海を割ったと言われる古代イスラエルの聖人の名前でもありますね)
一言で言うと、「巨大な水門を作って高潮被害を防ぐ」という計画です。

これを聞いて、「名前もかっこいいし、期待できそう!」と思われる方も多いと思うのですが。

この計画、イタリアらしいというかなんというか、全っっ然進まなかったことで有名です。
工事が始まったのは2003年ですが、経済がやばかったり、汚職事件なんかもあったりして、全然進まず。
(しかも、CBS news, 2019/7/21の記事によると、その工事が始まった2003年の時点で既に、モーゼ計画が提出されてから、20年経過していたそうです)

これ、どれだけイタリアの進みが遅かったか、というのを知るのに、オランダを見ると良さそうです。

オランダの都市、アムステルダムは、海面より低い位置に都市全体が位置しています。
しかし、アムステルダムは洪水に苦しむことはありません。
なぜかというと、オランダはベネチアに先駆けて、水門を完成させたからだそう。

CBS newsによると、
オランダの場合、水門建設にかかった時間はたった6年、かかったコストは約5億ドルだったそうです。

それに対して、ベネチアの場合、すでに2003年に計画が始まってから15年以上経過しています。
しかも、2019年の時点で、すでにかかったコストは約650億ドル

イタリアの水門建設の「遅さ」が「笑えないレベル」であることが分かります。

CBS news, 2019/7/21の記事から、特派員のサイモンさんの言葉を引用させていただきます。

“He, like every worshiper of Venice, realized that only the Italians could have built this city,” Simon said, “and perhaps equally, only the Italians can sit by and watch it disappear.”

『(マルセル・プルーストというフランスの小説家に言及して) 彼は、全てのベネチア崇拝者と同じように、イタリア人だけが、この都市を作り上げることが出来たということを悟った。
もしかしたら、それと同じように、イタリア人だけが、この都市が消滅するのを、ただ眺めることができるのかもしれない。』

う〜〜〜む。

…こんな感じで、「ベネチアの水門は永遠に完成されないだろ」みたいなトーンで世界中が見守っていた中、なんと!
とうとう完成したそうです!
そして、2020年10月3日、初めて稼働。

果たして、その効果のほどは?!
朝日新聞2020/10/4付より、引用してみます。

ベネチア市は、同日正午(日本時間同日午後7時)過ぎに最大125センチの高潮が起きると予報していたが、市の歴史地区がある潟と海の間を水門が仕切ったため、水面の上昇は約70センチに抑えられたという。

どうやら、水面の上昇が抑えられ、効果はあった、と言えるみたいです。
まだ完成してあまり時間が経っていないので、これからの活躍に期待大ですね。

ということで、ベネチアが今後どうなってしまうのか。
イタリア人だけが作り上げることができた」とされる、素晴らしい都市、ベネチア。
将来、沈んでしまうかも…という儚さが、その希少性や魅力をも一層引き立たせます。
どうかあの美しいベネチアが沈みませんように。

魅力4. アートの本場

最後に紹介するベネチアの魅力は、ベネチアの持つ圧倒的「アートの本場」感です。

独特の雰囲気。
現代美術の作品が展示されているような、感性を刺激されるような場所も、所々にあります。

私が訪れた際には、ベネチアで「芸術をこよなく愛している!」というおじさんにも出会ったので、すこしお話を伺ってみると、この方は初めてベネチアを数年前に訪れた際に、この街と恋に落ちてしまったため、それから何度も何度も訪れているんだ、と話してくれました。

そして、なんと、あまりにもベネチアが美しすぎて、ベネチアに魅了されてしまって、ベネチアに引っ越したんだそうです。

なんですか、そのロマンチックな生き方は?

でも、ベネチアなら、納得です。
アートが好きな方は、このおじさんと同じように、ベネチアと恋におちてしまうかもしれません。

芸術に興味がある人は、ハマること間違いなしです。

そして、この流れ的に、こうやってベネチアと恋におちてしまって、ベネチアに引っ越してくるような、このおじさんみたいな人が事実として、たくさんいる…と、言いたいところなのですが。
これは、全然いないのです。

ベネチアの場合、観光客が増えすぎている反面、地元住民の人口は減る一方であることが悩みの種になっています。

BBCによると、過去50年にベネチアの人口はなんと、半分以上減っているんですね。(住民が減る理由としては、生活費の上昇などがあげられています。)

魅力的すぎる、人気がありすぎるっていうのも、悩みどころですね。

番外編 魅力5. おじさん: ダンディ

ここまでで、ベネチアの良さが最大限伝わっていると嬉しいのですが、最後にもう一つ付け加えさせていただきます。

ベネチアという都市に限らない話なのですが、いわゆるイタリア人の「おじさま」たち、とってもダンディでした。
おしゃれ!!

おそらく、50代、60代から上のおじさまたちですが…。
ファッションが渋くて、おしゃれなんです。
男性ファッション誌にそのまま載せられそうな、素敵なダウンジャケットを着こなしているおじさまの、なんと多かったことか。

男性のファッションの勉強にもなりそうです。

また、ベネチアには「ゴンドラ」があります。
このゴンドラを漕ぐおじさんも、みんな渋い歌を歌いながら、ノリノリで漕いでいました。かっこいいなぁ。

ちなみに、この美しいゴンドラ、ひときわ目を引きますが、お値段は高めです。

人数が多い場合は、みんなでお金を出し合って1つに乗れば、安く済むかもしれませんが。
一人旅や少人数の旅行の場合、ちょっと高いよな~って感じ。
私はただただ、指をくわえて「ゴンドラいいな~」と見るだけで我慢をしました。

そんな風に見ているだけでも、風情があって素敵でした。
渋いおじさんの、低音ボイスを聴きながら、ベネチアの街を流れる。

美しい街並みとゴンドラを見ているだけでも、十分に楽しめました。

いつ訪れると観光客が少ないのか?

ここまでで、観光客が多い魅力的な都市なのはわかっていただけたと思うのですが、観光客が多すぎるのは、ちょっと嫌ですよね。

ベネチア、特に気候の良い春や夏は、観光客が多く訪れるようです。

また、毎年2月頃に多くの人が仮面をつけて楽しむカーニバルが開催されており、この時も特に人が多いようなので、注意が必要です。

私はカーニバルが終わった直後に訪れたので、そんなに混雑を感じませんでした。
すると、ホステルで働くイタリア人に「カーニバルの最中はホテルも高いし人多いし、大変。カーニバルが終わってから来て良かったね」と言われました。

カーニバルが見られないのはもちろん残念ですが、その分、お宿も空港チケットも安くて、結構空いていましたから、安く行きたいのであれば、冬(カーニバルを除く)は、おすすめです。

それと、ベネチアに限りませんが、春節(旧暦の正月)の時期は、アジアの観光客が増えますから…このあたりは確認して、避けられるなら避けた方が、飛行機のチケット代も安く済みそうです。

いつか、みんなでまた、安全に旅ができる日が訪れる日を夢見て。

迷路のような美しい都市、ベネチアの魅力が伝わっていましたら、幸いです。

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