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勝海舟の凄さって何?歴史初心者にもおすすめな本

      2020/10/02

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勝海舟ってどんな人?何が凄かったんだろう?歴史にあまり詳しくない初心者でも、勝海舟をよく知れるおすすめの本ってないかな?

以上のようなお悩みに答えます!

本記事の内容

  • 勝海舟の凄さって何?具体例2つ
  • 勝海舟を知るのにおすすめな本

この記事を書いているのは、本好き歴20年以上。
小さい頃から本好きで、学校からの帰宅後は寝転がっての読書タイムが定番。
ちなみに、当時のお気に入りの本の一つは司馬遼太郎の「燃えよ剣」。(新撰組の本です。土方ぁぁ)
そんな読書好き&日本史好きが紹介していきます!

勝海舟の凄さって何?歴史初心者にもおすすめな本

勝海舟といえば…幕末のキーパーソンですが、今回はその「凄さ」に焦点を当てていきます。

まず、ざっと何をした人か、勝海舟の実績から挙げていきましょう。

幕府軍艦咸臨丸で渡米。
坂本龍馬の師。
神戸海軍操練所、神戸海軍塾を設立、坂本龍馬を塾頭とし、諸藩の若者や脱藩した浪人を積極的に入学させる。
大政奉還、江戸城無血開城に貢献。

…まぁ、ざっと挙げただけでも、なんとなく凄いのは分かるのですが、いまいち「凄さ」がピンときませんよね。
ということで、勝海舟の凄さをより知るために、今回おすすめする本「逆説の日本史 19」(幕末年代史編)から少し引用させていただきつつ、勝海舟の凄さの一部を具体的にご紹介します。

勝海舟の凄さって何?: ①常識に囚われない

「逆説の日本史」の幕末年代史編(18~21)から引用しますと、『勝が偉大なのは、初めから日本全体を見ていて、幕府は滅びてもいいと考えていたこと』だそうです。

まず、当時の時代背景を簡単に思い出してみると…

欧米列強、植民地をどんどん拡大中。
1840年にはお隣の清でも、アヘン戦争(イギリスVS清)が勃発。
清は負け、香港がイギリスの植民地となる。
そして1853年に日本にも黒船が来航し、度肝を抜かれた日本人。
何百年も鎖国して平和ボケを謳歌していたため、困った困った。きっちり欧米列強に対抗できるようにならないと、『日本』が植民地にされてしまう!!
「日本人同士で戦っている場合じゃないよ!」
「そんなことしてたら、マジで日本も植民地にされちゃうよ!」

…という感じの状況。

長州藩の高杉晋作は、実際に植民地にされた清を訪れ、その目で見て、危機感を覚えたとされていますよね。

簡単に言うと、こういう状況で、国の存続危機だった。
だけど、この危機的な状況が簡単に分かる人ばかりではありません。

当時の日本の中枢機関は江戸幕府。
300年近く続いていた、絶対的な権威。
幕府の力は弱まってきたといっても、その歴史が持つ権威は相当なもの。
武士の間では「主家(主人)に対する忠義」が絶対的だった時代です。

現代の私達から見れば、この時点で、衰退し、時代遅れとなってしまった江戸幕府/鎖国政策を、それまでのように継続することは不可能だったことは明白。

しかし、当時の常識に立って考えると…その頃にはそれは全く「常識」ではありませんでした。
常識ではなく、むしろ、それまで数百年続いて来た幕府、そして同じ生活を保てると信じた人が大勢いたと。

これ、なんら不思議じゃないですよね。想像がつきます。
現代に置き換えても、300年近くも続いていた絶対的権威の存在があれば、それが続くって考えてしまう人の方が多そうです。

だからこそ大変だったし、だからこそ勝海舟の発想の凄さが見えて来ます。

勝海舟はそんな、多くの人が「幕府が絶対」と信じていた時代に、「場合によっては主家への忠義を捨てても日本全体のことを考えて行動すべきだ」という考えを持っていたと言います。

それまでの常識に囚われず、大きな視点で世界を見据えて、幕府や藩以上に大切な、「日本」を守ることを中心に考えて行動していた、と。凄いです。

勝海舟が「日本全体を考えて行動していた」ことの一環として…

勝海舟は、神戸海軍操練所、神戸海軍塾を設立、郷士出身の坂本龍馬を塾頭とし、諸藩の若者や脱藩した浪人を積極的に入学させました。

ここでも、勝海舟の凄さを感じるため、時代背景の詳細をもう少し見ていきます。

当時は、しがらみや規則、家柄などがガッチリあって、身分の高い人には会うこともできない、勿論結婚相手も簡単に選べないという厳しい時代でした。

例えば、高知県、土佐藩では「上士」と「下士」という身分制度が存在し、あの有名な坂本龍馬もかつて、土佐藩で下士として上士に虐げられていた、といわれています。

そんな身分制度バッチリの時代に、勝海舟は現代でも通用するような「実力主義」を採用して、出身を問わずに、坂本龍馬を始めとした、各藩の士をどんどん優先して入学させ、人材を育てたと。

当時これが、どれだけ掟破りで、革新的だったか?が見えてきますね。

坂本龍馬が勝海舟に人間として惚れたのは、こういうところもあるんでしょうね!
西郷隆盛を始めとする志士達から師として凄く慕われていた理由も見えて来ます。

が、伝統や歴史を重んじる守旧派からは、強い批判をされることも当然多かった。
そういった批判が出ることも想像ができます。
しかし、そんな批判にも負けず、先進的な実力主義を採用し、坂本龍馬を始め有望な人材を積極的に育てたのも、勝海舟の凄さの一つです。

「幕府」にこだわれば、こんなことは出来なかった。
「日本」を見据えればこそ、身分が低いとされていた若者達を積極的に育てたんですね。
そして見事に、彼らは幕末で大活躍したと。
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勝海舟の凄さって何?: ②江戸無血開城の実現

勝海舟といえば、これです。勝抜きには語れない、幕末の重要な出来事から、勝海舟の凄さを見ていきましょう!

しかし、江戸無血開城ってなんだっけ。
かなり簡単にすると…。江戸無血開城前、この時の戦いの構図としては、

幕府軍 VS 薩摩、長州などの雄藩連合+朝廷

です。

戦いの主な理由としては、「新しい日本を作るために誰が主導権を握るべきか?」ということ。主導権争いですね。

時は1868年。薩摩藩、長州藩は幕府を滅ぼしに江戸に進軍。
ここで幕府が応戦して正面衝突すれば、江戸の町が戦火に包まれ、兵士だけでなく、市民にも大きな被害が出ることは明白。
さぁ大変。

そんな内戦は避けられなかったような状況の中、「江戸城を明け渡すから攻撃はしないで」という和平案を雄藩連合の大将の一人、西郷隆盛に受け入れさせたのが勝海舟だと。

勝海舟は幕臣でありながら、西郷隆盛とも親交があり、長州の人とも深く関わっていた人間。
しかもこの時、勝海舟のいた幕府軍には勝算がありました。
「絶対に勝てないから降伏した」というわけではなかったようです。

「これをやれば、幕府側は(一時的には)勝てる」という案もあったものの、幕府ではなく日本全体のことを考えていた勝海舟。
内戦が泥沼化し、江戸の街で大勢の死者が出ることを避けるためにも、江戸城無血開城の道を、幕府の将軍、慶喜に提言したと。

しかし、一方の西郷たちは、幕府を潰しに来ていました…。

そんな戦う気マンマンの武士たちを説得し、和平案を受け入れさせることは、相当大変なことです。
そのため、勝はかなり用意周到に、様々な (現代で言う)「外交カード」を用意していたと言われています。

交渉が決裂した最悪の場合も想定して動いていたっていうのですから、そんな行動はリスクマネジメントの鏡とも言えるでしょうし、勝海舟は最高の外交術を持っていた、とも言えそうです。
う〜ん、凄い。

「幕府」の為を思ったら「戦うべきだ」と言っていた。
でも勝は、あくまで「日本全体のため」に動き、素晴らしい外交をして、和平案を受け入れさせ、無血開城を実現しました。

これ。この和平案が、実現しなかったらどうなっていたでしょうか?

この時ここで日本人同士が戦っていれば…
内戦が勃発し、内戦で両戦力が弱り果てたところに、イギリスやフランスといった外国勢力が介入、日本は消滅、そういった外国勢力の植民地となっていたかもしれません。
(何度も書きますが、ヨーロッパ勢が植民地を拡大していた時代でした。)

勝海舟の凄さが伝わりますでしょうか!

最後に結論として、勝海舟の凄さを一言でまとめておきます。

勝海舟は、広い視点を持ち、世界の状況を的確に把握した上で、当時の常識に縛られず、「日本のため」という広い視点で行動した。
幕府とか、藩とか、色んな組織があるなか、「日本」を見ていて、実際に日本の危機の回避に大きく貢献した。

以上です。

勝海舟の凄さについて十分に伝われば幸いですし、こんな感じで、日本の歴史について楽しく興味深く読みたい、勝海舟や幕末の動きについてもっと知りたいという方に、是非「逆説の日本史 19」(幕末年代史編)おすすめします。
この本は、歴史の教科書では見えてこないドラマというか、凄さが伝わってくるのが、読んでいてとても楽しいです!

また、『現代の常識を離れて当時の常識で考える』という当たり前のことが、実はどれだけ見落とされているか。
この本は、そこを意識して、歴史を紐解いていってくれているので、改めて凄さが分かって…歴史がすごく間近に感じられて、知識としてだけでなくて、まるで映画のように感じられて…とても面白いです。

(ちなみに、この「逆説の日本史」はシリーズもので、2020年7月に「逆説の日本史 25 (明治風雲編日英同盟と黄禍論の謎)が出版されています。で、今回の勝海舟が生きた幕末の時代が描かれているのが、18巻から21巻あたりまでありますよ。
途中から読んでも大丈夫です。)
おすすめです!

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