
ベネチアが沈むって本当?いつ?その理由と対策は?
という方へ、ベネチアが沈む理由と対策、いつ沈むと言われているのかについてまとめました。(ベネチア大好きです)
ベネチア (ベニス) が沈む?いつ?何年後?理由と対策:「モーゼ計画」
水の都、ベネチア(英語名から、ベニスと呼ばれることもあります)。
イタリアでも有数の観光都市ですが、訪れてびっくり、ベネチアはまるで迷路のような、想像以上に美しい都市です。
こんなに美しいベネチアが沈むなんて?!
まずは、ベネチアについて簡単にまとめていきますね。
美しい水の都、ベネチア基本情報
ベネチアは、イタリアの北部に位置し、アドリア海の女王、アドリア海の真珠なんて異名を持つほど、美しい都市。
118もの島々から成り立ち、それぞれの島は水路や橋で結ばれています。
ベネチアの街並みは、想像をはるかに超える美しさです。
都市全体や、建物も全てに雰囲気があって、歴史の中に迷い込んでしまったような気分にさせてくれます。
そして、ベネチアに関してこう感じているのは、私だけではありません。
ベネチアが一体どれくらい美しい都市か、その魅力のほどは、事実が語ってくれています。
ベネチアには、毎年多くの観光客が訪れていますが、具体的にはどれくらいの数か、ご存知でしょうか。
宿泊する観光客と、日帰りの観光客をあわせると、なんと!
1年に20 millionから30 million=2000万人から3000万人が訪れており、その数は増える一方だとか。
2018年の5月、観光客対策として、通行規制のゲートが設置されて話題になりましたが、そんなゲートを設置しないといけないくらい、観光客が多かったということです。
これ、東京と比べてみるとその観光客の多さがわかります。
2017年に東京都を訪れた外国人旅行者は、1377万人と発表されています。
そして、東京都の面積は2188平方キロメートル、ベネチアの面積は大体414平方キロメートルほど。
東京よりもずっと狭いところに、東京全体に訪れている以上の数の観光客が訪れる。
いかに観光客の数が驚異的か、おわかりいただけますでしょうか。
それもこれも、ベネチアの美しさに魅了される人々が、これだけ多いということ。
おそるべし、ベネチアの美しさ。ベネチアの吸引力。
ベネチアが沈む理由ーアクア・アルタ
では、さっそく本題へ。観光客を惹きつけてやまないベネチアは「沈む都市」。
というのも、ベネチアでは、高潮(地盤沈下)が深刻。
なぜでしょうか?その理由は?
『ナショナルジオグラフィック』から引用させていただきます。
1950~70年にかけて産業用に大量の地下水を汲み上げ、20年で約12センチも地盤が下がった
また、こちらは朝日新聞2020/10/4付より。
ベネチアでは毎年秋から冬にかけ、強い南風を受けた海水が押し寄せて水面が上昇し、高潮による浸水被害が起きてきた。昨年11月には観測史上2位となる187センチを記録し、歴史地区の大半が被害を受けた。
産業用に大量の地下水を汲みあげたため、高潮(地盤沈下)が深刻であること。
その浸水被害、なんと187センチを記録したことも!!!!
ほとんどの人が沈んでしまいます。凄まじいですね。
(この街が水浸しになってしまう現象は、「acqua alta」=「アクア アルタ」と呼ばれています。ベネチアの有名な「サン・マルコ広場」が水浸しになっている写真を見たことがある人も多いはずです。)
ベネチアが沈むのはいつ?何年後?
多くの専門家は、2100年までにベネチアが沈むと予想しているそうです。
2100年といえば、あと75年後ですね!
ただ、イタリア政府も、もちろん黙っていません。
大事な文化財や世界遺産に溢れるベネチアが沈むのを防ごうと、対策を講じています。
沈むベネチアを守れ!対策「モーゼ計画」
それが、「モーゼ計画」。
(モーゼは、旧約聖書に出てくる、海を割ったと言われる古代イスラエルの聖人の名前でもありますね)
一言で言うと、「巨大な水門を作って高潮被害を防ぐ」という計画です。
これを聞いて、「名前もかっこいいし、期待できそう!」と思われる方も多いと思うのですが。
この計画、イタリアらしいというかなんというか、全っっ然進まなかったことで有名です。
工事が始まったのは2003年ですが、経済がやばかったり、汚職事件なんかもあったりして、全然進まず。
しかも、CBS news, 2019/7/21の記事によると、その工事が始まった2003年の時点で既に、モーゼ計画が提出されてから、20年経過していたそうです。
…20年ってすごいですよね。どういうこと?
政府、ベネチア守る気ある?やる気ある?って正座で1時間くらい詰めたくなってしまいますね。
これ、どれだけイタリア政府の対策の進みが遅かったか、というのを知るのに、オランダを見ると良さそうです。
アムステルダムと比較して分かる、対策のお粗末さ
オランダの都市、アムステルダムは、海面より低い位置に都市全体が位置しています。
しかし、アムステルダムは洪水に苦しむことはありません。
なぜかというと、オランダはベネチアに先駆けて、水門を完成させたからだそう。
CBS newsによると、
オランダの場合、水門建設にかかった時間はたった6年、かかったコストは約5億ドルだったそうです。
それに対して、ベネチアの場合、すでに2003年に計画が始まってから15年以上経過しています。
しかも、2019年の時点で、すでにかかったコストは約650億ドル。
イタリアの水門建設の「遅さ」が「笑えないレベル」であることが分かります。
CBS news, 2019/7/21の記事から、特派員のサイモンさんの言葉を引用させていただきます。
“He, like every worshiper of Venice, realized that only the Italians could have built this city,” Simon said, “and perhaps equally, only the Italians can sit by and watch it disappear.”
『(マルセル・プルーストというフランスの小説家に言及して) 彼は、全てのベネチア崇拝者と同じように、イタリア人だけが、この都市を作り上げることが出来たということを悟った。
もしかしたら、それと同じように、イタリア人だけが、この都市が消滅するのを、ただ眺めることができるのかもしれない。』
う〜〜〜む。
…こんな感じで、「ベネチアの水門はもう、永遠に完成されないだろ」みたいなトーンで世界中が見守っていた中、なんと!
とうとう完成したそうです!
対策の効果のほどは?!ベネチアが沈むのを防げたのか?
モーゼシステム(可動式の水門システム)、ついに完成!そして、2020年10月3日、初めて稼働。
果たして、その効果のほどは?!
朝日新聞2020/10/4付より、引用してみます。
ベネチア市は、同日正午(日本時間同日午後7時)過ぎに最大125センチの高潮が起きると予報していたが、市の歴史地区がある潟と海の間を水門が仕切ったため、水面の上昇は約70センチに抑えられたという。
どうやら、水面の上昇が抑えられ、効果はあった、と言えるみたいです。
2020年以降の記事も見てみましょう。
‘Venicerevealed’というサイトの、2024年1月に書かれた記事から引用します。
The floods are not nearly as severe as in the past due to the Mosè system, which is a series of floats that block the tides from entering the lagoon.
水をブロックするモーゼシステムのおかげで、以前ほどはアクア・アルタの被害はひどくない、と書いてあります。
お次は、nature.comの2024年4月に書かれた記事より。
Now in its fourth year of operation, the Venice system of mobile barriers has proven very effective in safeguarding Venice from acqua alta, the high tides in the lagoon that used to periodically flood the city.
運用開始から4年目を迎えるヴェネツィアの可動式の水門システムは、かつては定期的にヴェネツィアを浸水させていたアクア・アルタからヴェネツィアを守るのに非常に効果的であることが証明されている。
おぉお!モーゼシステム、無事効果的に機能しているみたいです!
ただ、この記事で心配されているのが…
2023年10月から2024年4月までで、モーゼシステム(可動式の水門)が使われたのは31回。少し前のシーズンまでは20回よりも少なかったそうで…。
モーゼシステムの使用頻度が増加傾向にあるんですね。
海面の上昇が進んでいるというのもあるし、海の生態系への影響も心配されていました。
人の手が加わっていることですから、そう単純な話ではありませんよね。このあたり、ちゃんと見守って対策を講じていくしかありませんね…。
おわりに
ということで、ベネチアは沈むのか。今のところ、対策として打ち出されたモーゼシステムがうまく機能しており、アクア・アルタのひどさは軽減されています。
今後、ベネチアはどうなっていくんでしょうか。
「イタリア人だけが作り上げることができた」とされる、素晴らしい都市、ベネチア。
どうかあの美しいベネチアが沈みませんように。