経済学をざっくり知る 古典派、ケインズ、新自由主義、マルクス
2019/01/24
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「コレ、学生の時習ったけど、結局どういう意味だっけ?」が多いことに気がつき、経済の勉強をし直しています。
今回のテーマは、一度は聴いたことがある、学校で習った、「経済学」の話。
古典派、「国富論(諸国民の富)」のアダム スミス、ケインズ経済学、サッチャー首相やレーガン大統領の「新自由主義」、そして共産主義、「資本論」のマルクス。
それぞれ、どういう内容でしたっけ?
そこで、経済学の大きな流れをかなり大まかに、ざっくりとまとめてみました。プロの方々が書けば、そりゃ本が何冊書けるかというような、深い話なのでしょうけど…。
まだ、そこまでは理解できないんです!
と、いうことで、まずはざっくりと内容を勉強し直します。
1929年の世界恐慌まで世界は「古典派」
古典派ときけば、学校で習ったな~と思い出すのは、「アダム スミス」さんの名前と、「神の見えざる手」という言葉ではないでしょうか。あとは、「国富論(諸国民の富)」なんかも習いましたよね。
そんな古典派経済学とは、1776年に「国富論」を発表したアダムスミスさんが創始した経済学のこと。名前の通り、「古い」経済学ですね。
この古典派経済学の特徴、中身を簡単にみてみると…
自由な市場で皆がそれぞれ経済活動を行えば、「神の見えざる手」によって需要と供給の最適なバランスが保たれる(価格が市場で上下して需要と供給がいつも一致する)。
その為、生産物は全部売れるし、失業者も生まれない。そしてそれがまた需要を作り出し、さらに経済は成長し、国が豊かになる!
だから、政府は介入するべきではない、自由主義経済が大切だ!
…というものだと。
イヤイヤ、ちょっと待って。早い早い。こんな説明されても分からんよ。
…順を追って見ていきましょう。
まず。
『自由な市場で皆がそれぞれ経済活動を行えば』というのは分かります。
「個人がそれぞれ自由にモノを買ったり、売ったりすれば」ということですよね。
ではその後の、
『「神の見えざる手」によって需要と供給の最適なバランスが保たれる(価格が市場で上下して需要と供給がいつも一致する)。』
…とは、どういうこと?
例えば…。
個人が自由に市場で経済活動を行います。
供給量(モノの数)が10コあって、欲しい人(需要)が30人いる場合
=人気がある場合には価格は上がる。
でも、欲しい人(需要)が5人しかいない場合
=人気がない場合には価格は下がる。
これ、よくわかる話ですよね。
人気のあるアイドルのコンサートのチケットの値段は、つり上がります。欲しい人=需要が多いから。
こんな風に、市場では自動的に価格が調整されて、需要と供給がいつも一致する!…この「価格メカニズム」のことを、「神の見えざる手」…と表現しているってわけですね。
そして、この古典派経済学では「供給側(モノの数)」の方が大切だといいます。
なぜなら、モノを作って、もしそれが売れなくても、売れるまで値下げをすれば全部売れると考えるから。だから元々のモノの数が大事。
そして、労働者に関しても、労働という商品を売る供給者として考えます。
労働も、値段(賃金)を下げれば企業に必ず売れるので、失業者なんて生まれない。
作ったモノは必ず全部売れるし、失業者も出ない。古典派、自由主義ばんざーい。
そしてこの、「作ったものは価格が自動的に調整されて全部売れる!市場では価格が自動的に調整されるから、供給が需要の大きさを決める、供給量=需要量だ!」という古典派の理論は、セイさんという方が主張した理論だったのでそのまま、『セイの法則』と呼ばれているようです。
古典派の理論ですね。
…でも、これ、ちょっと待てよ。と思います。
虫がよすぎない??
この理論が実際に完璧に機能していれば、私達の経済に不景気なんて起こりようがないし、失業者なんて居るわけがないはず。
そう、この古典派の理論では説明できなかったこと…それが「不景気」!
特にこれが明確になったのが、1929年の世界恐慌の時でした。
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1929年の世界恐慌で登場したケインズ
世界恐慌とは?
文字通り、「世界的な恐慌」です。
アメリカ、NYの株式市場で株価が大暴落したことを発端として、世界的な不況に。
失業者もどんどん増え、景気もどんどん悪くなる…。
こんなはずでは…という思いですが、何をしたら良いのやら。全くなす術がなく、立ち尽くす人々。
そんな時に颯爽と登場したのが、かの有名なケインズさんです。
ケインズさんの理論は、ざっくり書くと「政府が、投資と消費(需要)を増やしてしまえば良い」というものでした。
需要が減って不況になってしまったんだから、政府が介入して、需要を作り出そう。ということですね。
具体的には、政府が公共事業(橋を作ったり、高速道路を作ったり)を行う。
例えば…
政府が「橋を作ろう!」と公共事業を増やし、そんな消費(需要)を増やすことで、生産が増えます。
仕事が増えて、みんなの所得も増え、そして所得が増えれば、みんなもっと消費をするから…また需要が増えます。
もっと色んな要素はあるでしょうが…例えばこんな風に、プラスの経済効果がどんどん波及していく。というわけですね。!
このケインズを取り入れたのが例えば、アメリカの「ニューディール政策」。
その後、第二次世界大戦が起こり、武器を作るなどといった”公共事業”(需要)がバンバン増えた結果、アメリカは不況を克服。
日本ももちろん、ケインズを採用してどんどん発展していきました。
しかし、時とともに、今度はケインズ理論の欠点が見えてきます。
ケインズ理論の欠点
ケインズなら、ずっと上手くいきそうなのに、どうして景気がよくならないの?と思いますよね。
やはり、このケインズにも欠点があるようです。その欠点を簡単に羅列してみました。
財政赤字が増える
政府がどんどんお金を使って公共事業などを増やすので、財政赤字が増えてしまう。これは、よく分かる話ですよね。財政支出が増えるわけですから。
元々ケインズでは、「政府がお金を使っても、その分景気がよくなるので、使ってしまった分は税収でまかなえる。」という考えでした。
しかし、段々と公共事業の効果も薄れてしまいます。
例えば…、橋を作る公共事業。最初の橋が出来た時点ではすごく町が便利になり、大きな経済効果がありました。では、ということで、再びもう少し離れた所に一つ橋を作っても、1つ目の時のようなインパクトはありません。もうある程度インフラが整ってるのに、もう一つ作っても…そんなにめっちゃインパクトない…という感じになってしまいますよね。
やはり何事も、やり過ぎるとダメってことのようです。うーん。
しかしケインズのやり方では、短期的な効果が見える場合が多いので、それにハマってしまい、どっぷりやりすぎた結果、税収でまかないきれない事態となり、財政赤字が膨らんでしまいました。
現在の日本では、莫大な国の借金が深刻な問題だと、よくニュースなんかでも取り上げられています。
インフレやスタグフレーションが起こる
さらに、ケインズには「インフレを起こしやすい」という欠点が指摘されていました。
これが特に顕著に表れ、皆が「ダメじゃん!」となったのが、1973年に始まった石油(オイル)ショック以降のこと。
石油ショックとは…第4次中東戦争をきっかけとして石油価格が高騰し、世界経済に大きなインパクトを与えた出来事。
これは少し想像したら分かりますが、「どうしましょ」です。
中東の石油エネルギーに依存してきた先進国。
その石油価格が高くなれば、大打撃です。
今まで安く買えてた重要なエネルギー源が、一気にガッと値上がりしてしまうんですから…。
この石油ショックでインフレ(物価が上がること)が加速し、日本でトイレットペーパーの買い占め運動などが起こったことは、記憶に新しいのではないでしょうか。
大ピーンチ。
ここで、日本の高度経済成長期も終焉を迎えます。
そしてアメリカはというと、スタグフレーションに苦しめられることになりました。
スタグフレーションとは、インフレ(物価上昇)と景気後退が同時に起こってしまうことを指す用語。
景気が後退している(賃金も上がらない)状態の時に、物価が上がってしまう。
景気が良い時は(仕事もあり、賃金も上がる時)、物価が上がっても良いわけです。むしろ、景気が良い時にインフレが起こるのは自然なこと。需要(欲しい人)が増えますもんね。
しかし…景気が後退している時に物価が上がると大変なことです。
これ。物価が上昇するということは、貯金していたお金の価値も下がってしまいます。
(100円で買えていたものが、物価が上昇し150円でないと買えなくなる。=お金の「価値」が下がっています。)
生活がとっても苦しくなってしまって、どうしましょ。
ケインズをやりすぎて、再び行き詰まってしまった世界経済。困りました。
「新自由主義」の登場
そんな時、1979年に颯爽と登場したのが、イギリスのサッチャー首相でした。
サッチャー首相は、いわゆる「サッチャリズム」と呼ばれる経済政策をどんどん実行していきます。
その主な内容を見てみると…
ケインズ的な「大きな政府」(国の政府の役割が大きい)ではなく、国の役割を縮小する「小さな政府」。
規制緩和、市場の自由競争、公共事業/財政出費の削減、国有企業の民営化…などなど。
これらのアプローチは、「新自由主義」とも呼ばれます。
アメリカでも、1981年に大統領となったレーガン大統領によって「レーガノミクス」が行われ、新自由主義的なアプローチがとられました。
この二人が活躍し、米英の経済が息を吹き返したかわりに、ケインズ理論の権威は失墜してしまいました。
…と。かなり大まかにですが、時代の流れとともに、ケインズさんや新自由主義、などなどが登場してきたんですね。
ちなみに、「マルクス」は?
マルクスさんが書いたのは「資本論」。唱えたのは「共産主義」です。
資本主義経済では、労働者と資本家の貧富の差が激しい、不平等で危険だ!
この思想を元に、社会主義の国、ソ連や、毛沢東の中華人民共和国ができました。
しかし…共産主義の問題点も浮き彫りとなっていきます。
というのも、社会主義では競争がなくなってしまうので、やる気もなくなるし、技術革新もすすまない。みんな一緒なら、がんばらなくてもいいじゃーん。
想像できますね。やる気は確かになくなりそうです…どれだけ頑張っても意味ないじゃん!と。
…そして…資本主義の国(主にアメリカ)と共産主義(主にソ連)の国で、第二次世界大戦後(1945〜)の世界は対立。これがいわゆる、冷戦でしたよね。
そして結果、共産主義国家、ソ連の崩壊という形で冷戦は終了しました。
現在、貧富の格差が激しい社会であることも問題となっていますが…共産主義の問題点も大きそうです。
最後に
古典派、ケインズ、新自由主義、そしてマルクス。
かなり大ざっぱに、それぞれの特徴と流れをまとめてみました。
現在、経済格差はどんどん広がっていますし、常に次の世代ではどうしていったら良いか?を考えていく必要がありますよね。世界恐慌のようなことを繰り返さないためにも、しっかりと過去から学んでおくこと、そしてそれから先を考えていくことが大切だと改めて考えさせられます。
生活に密着している話ですし、とても興味深いです。